会えないクリスマス
片思いの夜、
女は朧気な彼の記憶を辿る
あの声を呼びおこし、心覚えたあの指先に目を閉じ手を伸ばす
あの日「好きな人がいる」と照れくさそうに言った彼に
女は二度と出来ない笑顔をみせた。
そして悲傷に満ちた夜、
女は悲嘆の涙に溺れた。
今年もやってきた 友人として会えるこの宴に
彼は美しい女性を連れてきた
自分が女として 彼に
逢えないのは当たり前
抱かれることも遠い夢
たとえ女として会えない聖なる夜に
友人として 彼の笑顔を見れるなら、
あの声を肌に感じとることができるのなら・・・
諦めきれない思いと
あの女性への嫉妬と葛藤を繰り返し、
自分を納得させながら
この恋を せつなくも選んでしまった女は
今夜も 彼の記憶を辿ってしまうのだ
constitution / 鏡花 illustration / kikue FAM-VERCE 2008.12月号 I’m woman
福井のフリーペーパー「fam」で、掲載している「I’m woman」という記事コーナーのイラスト制作やデザインをさせていただいております。鏡花さんの文章は、毎月艶やかで、女心の深い部分をつく、深い詩で、密かなファンが多数存在するとか…。ぜひ、女性の方に読んでいただきたいです。
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