紫陽花心
女は 導かれた
男たちの土壌で花となる。
躯を業火とさせ 心を焦がし
紡がれた男の指先が 女に乞えを捧げ、
そうして烈烈に応えることを知る。
男たちは 艶めく女の肌を見届け、
無心に貪り その身を懐に委ねながら、
やがて歓喜の息を吐く。
女は 小さな蕾が開花された、
その瞬間から色めいて
刹那に散るまで、移り込んでゆく。
きっと女は知っているのだろう。
赤らむ肌に染め上げられた その巡りの儚さを。
そうして記憶にある あの瞬間を
この身に もう一度灯火として宿して
今宵もまた、雨に打たれてゆくのだ。
※紫陽花の花言葉のなかに“移り気”とあります。それは散ってゆくまで、染め上げられてゆく女性のせつなくも、深い心模様に似ているのかも知れません。
constitution / 鏡花 illustration / kikue FAM-VERCE 2008.6月号 I’m woman
福井のフリーペーパー「fam」で、掲載している「I’m woman」という記事コーナーのイラスト制作やデザインをさせていただいております。鏡花さんの文章は、毎月艶やかで、女心の深い部分をつく、深い詩で、密かなファンが多数存在するとか…。ぜひ、女性の方に読んでいただきたいです。
コメントを残す